ふじ法律事務所

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事務局便り

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◎相続:≪国立西洋美術館所蔵の絵画『愛の杯』≫

 国立西洋美術館所蔵の絵画『愛の杯』(ダンテ・ガブリエル・ロセッティ作、19世紀)を見て、歌人2人が短歌を詠みました。この絵には、「甘き夜、楽しき日、愛しき騎士へ」の銘文があります。

  赤い衣を身にまとった美しい女性が、金色のグラスを片手に持ち、しっかりした中にも憂いを帯びた視線は斜め上を見つめ、戦場に行った騎士の無事な帰還を祈っている。このグラスは「愛の杯」と呼ばれ、恋人など大切な人と酌み交わす時に用いる杯である。視線の先には何を見ているのか、見ていないのか。

  この同じ絵を見て、歌人2人が詠んだ短歌。
「うつつなく 胸に置く手も いたいたし まなこを宙(そら)に 赤(せき)衣(い)の女」(後藤直二)
「たゆたいは 沙場(しゃば)のうえの 紅(あか)き雲 いくさののちも わたしは生きる」(辰巳泰子)
      (「西美をうたう」国立西洋美術館発行)

 後藤氏の歌には、「もしかしたら、夫は大ケガをするかもしれない、戦死してしまうかもしれない。」女性の胸の奥に潜む深い憂い、悲しみが描かれています。
 辰巳氏の歌には、「身にふりかかった悲しい出来事の中でも、何があっても生き抜く女性」の芯の強さが描かれていています。

 このどちらも真実なのでしょう。たとえ何かの時のために備えはしていたつもりではあっても、実際に大切な人を戦いの場に送り出したたら、その身に何が起こるか判らない。そんな不安感がこみ上げてきて、途方にくれるかもしれません。それもやむを得ないでしょう。

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 私たちは日々生活している中で、さまざまな事に巡り合います。いろいろな事に備えているつもりだが、判らないこと、予測しなかったこと等、様々な事が起こるでしょう。いざとなったら、どうしよう。どんなことが起きても頼れる人は、身近にはなかなか居ないかもしれません。

 たとえば、「夫に先立たれ、女手一つで子供を育てていた女性」のケース。
 女性には頼れる親族がなく、夫の兄から経済的援助をもらい、子供を何とか学校だけには通わせていた。しかし、その義兄が亡くなってしまった。兄嫁とは仲が悪く、経済的援助はあまり期待できない。この女性は、「もう頼る人も居なくなり、子供を学校にも行かせなくなってしまう。」と悲しみにくれました。

 弁護士に相談したところ、「代襲相続制度を利用することができ、子供が義兄の遺産の一部をもらうことができました。これによって、子供を学校に行かせることができました。」

 これは一つの例です。世の中にはこの他にも様々な問題、困りごと、やっかい事があるでしょう。例えば、身近な人、頼りにしていた人が亡くなったらどうしよう。相続など慣れないこと、法律がからんだら事はよく判らない。今後のことを考えると、どうして良いかよく判らない、等々。
 不安な気持ちになるのもやむを得ないでしょう。でも、そんな時は弁護士に相談してください。弁護士はあなたの心配、困り事について、一緒に考えてくれて、きっとあなたの強い味方になるでしょう。
(平成29年2月)

 

◎破産   『朝顔に つるべ取られて もらい水』

 朝起きて、水を汲もうと思って井戸端へ行ったら、朝顔のつるが井戸のつるべに絡まっていた。朝顔を傷つけては可愛そう。水は他の人の井戸から汲ませて貰いましょう。ほのぼのとした気持ちが伝わってきます。

 井戸の水汲みなら近所の人に頼めますが、大きな借金となるとそうは行きません。その人が頑張っても、どうにも出来ない時にはどうしたら良いのでしょうか。知人や親戚にお願いしても、無い袖は振れないと言われるのが普通でしょう。親に相談しても、助けてあげたいのは山々だが、どうしたら良いのか親も途方に暮れる人が多いでしょう。

 そんな時は、弁護士に相談して下さい。弁護士は世の中の仕組み、法律を良く知っていているだけでなく、難しくて普通の人が出来ないような裁判手続なども利用して、あなたを助けてくれるでしょう。

 金額が少なければ任意整理・債務整理を行い、無理のない返済条件の実現や債務の減少に協力してくれます。相手が貸金業者の場合には債務が減少するだけでなく、場合によっては逆に払いすぎたお金が戻ってくることもあります。

 もし借金が大きすぎて、とても払えそうもない時には、破産もできます。是非弁護士に相談して下さい。破産しても、特殊な業務でなければ今までの勤務は続けられます。しばらくの間は贅沢はできないでしょうが、生活は出来ます。子供の学校も続けられます。

  破産は決して悪いことではありません。あなたが大きな借金で苦しむよりは、破産手続を取り、どうにもならない借金を整理して下さい。いつまでもあなたが苦しみ続けるよりは、あなたとあなたの家族が元気になった方が、世の中は良く回ります。あなたが元の元気な姿になることを、「世の中」は望んでいます。

  朝顔のつるが井戸のつるべに絡まってどうにもならなくなった時、弁護士なら、もしかしたら井戸の側に棒を1本立てて、そこに朝顔のつるを絡ませてくれるかもしれません。
(平成25年9月)

◎遺産   『旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る』

  芭蕉は人生の最後まで旅に生きました。芭蕉の句は、目の前の景色だけでなく、その先にある目に見えぬ世界を感じ、見つめていたと言われています。この世の楽しみ、辛さ、悲しさを感じ、更にその先にある世界を求めていました。はるかな昔から永劫の未来まで。死を前にして、永遠の時の旅人とも言われる芭蕉の目は、みちのくの枯野の先に何を見ていたのでしょうか。

 『あらざらむ この世のほかの 思い出に いまひとたびの 逢うこともがな』 (私はまもなく世を去りますが、最後の思い出に一目あなたに会いたい)〈和泉式部〉

  しかし、私たちはこの世のしがらみにまみれて生きています。それが煩悩だと言われても、それでも想いが残るあなたに、この世を去る前に一目でいいから会いたい。去りがたく切ない心は、家族、親類縁者、縁のある人すべてに向けられていきます。今という時間の流れの中にしか思い至らぬ私たちは、大切な人がいなくなる心の隙間、生活の変化に心が揺れます。更には、生活の糧となる資産の様子に不安がよぎります。

  遺産相続は慣れない事で戸惑うことが多いものです。先ず財産がどれだけあるのか調べなければなりません。相続財産が多い人は相続税の負担が大きくなるので、何とかして合法的に相続税を減らす方策はないものかと考えるかもしれない。預金や有価証券等をもれなく調査し、固定資産の抵当権等の権利関係等をきちんと評価するのは、慣れていないと結構大変です。
 反対に、あまり裕福で無い方の場合は、もし亡くなった方に隠れ借金があったら大変なことになります。財産の相続どころではなく、逆に借金が降りかかるのを防がなければならなくなる。相続放棄は3ヶ月以内に手続きをしなければならないので、のんびりしている暇はない。財産が有っても無くても、相続にはそれなりのエネルギーが必要になります。

  財産内容が判ったら、次は誰が相続人になるか決めなければなりません。相続人探しは自分の知っている兄弟、親族の顔を思い出しているだけでは済まないのです。疎遠な親族が居るかもしれない。もしかしたら仕事で苦しい時期に密かに愛していた人がいて、何かの拍子に過ちを犯し、誰も知らない所に親の子供が居るかも知れない。そんな筈はないと思っても、相続をする時には必要な調査、手続はしなければなりません。戸籍、除籍、原戸籍など慣れない書類を辿って相続人調査をするのは結構疲れるものです。

  財産と相続人が確定したら、次は相続財産の配分割合の調整が始まるが、これがまた大変なことになる。一人ひとりの人生に違いがあるように、考え方にも違いが出てくるものです。お互いに善意で動いていても、善意と善意がぶつかり合うこともあります。
 親の面倒は自分が見た、その生活費だけでも大変だった。遺産相続の時に、少しは配慮してもらいたいと思いたくなるのも人情でしょうが、他の親族はどこまで判ってくれるのか。また、いくら遺言状があるからと言っても、誰かが財産を独り占めにしたら、それはおかしいと言いたくなるのも人情でしょう。

  多少まとまったお金が動くときには、いろいろな想い、思惑が現れることがあります。こちらが正しいと思っても、お金が絡んでくると理屈通りに行かないのは世の常です。そんなとき、弁護士に相談してみて下さい。弁護士はきっとあなたのお役にたてると想います。法律に精通している弁護士が言うことなら周りの人も納得性が増し、話を聞いてくれるでしょう。お金は天下の廻りものだとよく言われますが、きちんとした形で入ったら、お金だって喜ぶのではないでしょうか。お金が身に付いて、きっと役に立にたつ良い使われ方をされるでしょう。

  私たちもまた時の旅人です。芭蕉にはなれなくとも、それぞれの人がそれぞれの道を歩んでいます。法律は世の中のしがらみを整理し、歩きやすくするためにあります。必要な時には弁護士も皆様と一緒に歩んで行きたいと思います。
 (平成23年12月)

◎借金問題

 「智に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」これは夏目漱石の小説「草枕」の冒頭の文章ですが、今も昔も変わりはありません。民事、刑事、交通事故、会社整理・再建、家庭内の問題、相続、その他様々な問題を抱えて困っている方が大勢います。世間のしがらみ、権利、義務、借入、返済、他人の心等々、どうしたら良いのか分からない問題が身にふりかかってきます。

 最近多いのが消費者金融、ローン関係で、借入金の返済に苦しんでいる方の相談です。子供の教育費だけは何とかしてやりたい、たまには家族にいいものを食べさせてあげたい。やむを得ない臨時出費もあります。返済は月々数千円、あるいは1万円程度だとしても、余裕があるとはいえない家計の中から返すのはやはり負担です。始めは少しだけ借りて、やり繰りが苦しくてまた借りる。特別贅沢をしているつもりは無いのに、いつの間にか借入金が膨らんで、だんだん返すのが苦しくなってくる。まじめに努力しているつもりなのに思うに任せず、この先どうしたらよいのかだんだん分からなくなる。

  でも、そんな時は一度法律事務所をお尋ね下さい。困った時には法律の専門家である弁護士に相談するのが良いと思います。「法律は難しい世の中を交通整理して、住みやすくする」 ためにあります。法律は難しくて普段縁のない方が多いと思います。しかし、上手につきあえば思わぬ助けとなります。

  消費者金融で多額の借金をして、長い間、苦しい毎日を続けていた人がふじ法律事務所に相談に来ました。債務内容を整理し、民法、貸金業規制法、利息制限法等の法律を味方にして、その人に合った方針を立て、直ぐに対処しました。その結果、頻繁に来ていたサラ金業者などからの取立ての怖い電話がピタリと止みました。それだけでも日々の生活の、負債がずいぶん軽くなりました。

  この方の場合には高い金利に苦しむ時間が長かったので、その分借金・負債の軽減率が大きくなりました。 返済の目途が立たなかった借金も程なく完済できました。将来が不安でしょうがない生活から、一転して将来に希望ができる生活になりました。老婆心ながら、油断しないで貯金をするよう助言させていただきました。
 借金返済期間の長かった人の中には、払い過ぎた利子(過払金)の返還によって、借金が0円になるだけでなく、お金が戻ってきて、思わぬ貯金が出来た人も少なくありません。

  日々生活していると、お金の問題、家事、離婚、不動産関連、相続、会社法務、事故、その他いろいろな問題が降りかかってきます。順調なうちは何とかなりますが、相手がこちらの思ったとおりに動いてくれなかったり、世間に気兼ねしたり、少しでもそんなことがあると、すぐ困ってしまいます。誰にも相談できなくて自分だけで抱え込んでしまうと、何も解決されず憂鬱な日々だけが通り過ぎてゆきます。ご本人にとっては人生の一大事であり、今まで経験のない初めての出来事であることが多いと思います。

 そんな時は、ふじ法律事務所をお気軽に訪ねてください。ふじ法律事務所では多くの案件を扱わせていただいております。相談するだけで心のもやもやが晴れ、すっきりする場合もあります。法律は困った人を助けるヒントの宝の山、人々の知恵の結晶です。心のお医者さんとして、その人の立場になって一緒に考えれば、解決の糸口がつかめる可能性が一層高くなります。

 法律事務の仕事は簡単ではありませんが、皆様のお役に立てて喜んでいただけるのが何よりの励みになります。ふじ法律事務所は丁寧な法的サービスをモットーとしています。一期一会。依頼して来られる方の心と人生を感じ取りながら法的支援をさせていただきたいと思っております。何か困ったことがありましたら先ず事務所に電話してください。
 (平成22年7月)